革製品を持つ際、いちばん気を使うは雨の日だろう。しかし、鞄が仕事の道具を持ち歩くためのものであるなら雨の日の使用を避けるわけにはいかない。そこで、雨の日でも、もっと気軽に使うことができる鞄の皮革素材の研究を行ってきた。そして、できあがったのがワックスドレザーだ。
従来のロウ引きはヌメ革を下地としていたが、ワックスドレザーは、タンニンなめしとクロームなめしを併用した「混合なめし」の牛革を素材とした。こうすることで、タンニンなめしとクロームなめし、それぞれの特長が組み合わさり、型崩れしにくく耐久性のある革になるのだ。また、この混合なめしの牛革は、本ヌメ革と比較すると、遥かにシミになりにくい点も特長である。
その混合なめしの牛革に更に、撥水性を高めるためのロウ引きも施してあるわけだ。ロウ引きはすべて手作業で、液体状のロウを専用の刷毛でザッザッと塗りつける。ひとつとして同じ柄にならない個性的な革ができあがる。
このロウワックスは、使い込むに従いロウが薄くなってくるが、この現象は剥がれるのではなく、革の内部に染み込んでいくことによるものだ。つまり、表面のロウがなくなっても、撥水性は保たれるのだ。
この「ワックスドレザー」を使ったシステム手帳のデザインは、バッファローカーフのデザインを採用した。ワックスドレザーを使用するからには、デザインもこだわりを必要としたからだ。その点、バッファローカーフ・シリーズのA5なら、その人気ぶりをもってすればご理解いただけるだろう・・・。堅牢なワックスドレザーには、磨け仕上げのデザインがまさにぴったりとくる。
かくして出来上がった「ワックスドレザーのシステム手帳」。じっくり考え、比較して購入を決めて欲しい。そして、手にしたら、「手帳の革の変化」を愉しみ、そして、愛して欲しい。実際、愛してやまない手帳となるはずだ。
ワックスを革につける作業はすべて手作業だ。そのため、ワックスの付き具合(柄)は一点一点異なる。しかし、それゆえにオリジナリティー溢れる手帳と言える。 |